劇場版AIR(東映アニメーション/フロンティアワークス )

■粗筋
 省略。たぶん、言わないほうがいいと思うので。

■感想
 わからない、というのが最初の感想。今は、駄作というか愚作だと思っております。
 ボクはAIR大好きなのは、結構な方々に認知されているところであります。が、この劇場版はそのボクを始めとする――いわゆる原作主義者にある種の喧嘩を売っているのではないでせうか。一つづつ纏めていきましょう。以下ネタバレですので、いろんな意味での危険を感じた方は、ここでストップするのがいいかと思いますYO。基本的に、否定というよりバッシングの方向ですので、その旨を理解してくれる方が望ましいかとー。
 まず全体のストーリー。これはもう、原作をほとんど無視したアナザー・ストーリーとなっておりますね。本当に根幹の部分、例えばSUMMER編などは全て書き換わって、新たな脚本で進められていきます。神奈の呪いとか、観鈴の病気とか。あとは「そら」のスタンスやら、往人の思考諸々。これら全て大嫌いであります。AIRの映画なんだから、AIRらしく纏められないものなのか、と。あそこまでブッチぎった作品に、抵抗を覚えない人間は、少なくともボクのような人にはいないでしょう。たぶん、そこはわかってやってるんだと思います。それ故に尚更気に入りません。尺が短いから、纏めるのは難しいから、そもそも無理なんだから。そんな言い訳等聞きたくはないのであります。やるからには、それを見越した上でプロとしてやって欲しかったのに、と。AIRの世界観を壊してまで創り上げた作品、その意義をこちらに示してもらいたかったのですYOぅ。
 ここでじゃあ、原作をある程度考えずに観た場合、これを考えますと。これまたダメ。一つの映画としても、今までの人生の中で最も、しかも超絶につまらない映画でありました。全ての手法が古く、惹きつけません。一つひとつの行動は唐突、説明も無し。例えば観鈴ちんが往人を好きになる過程、(本当の)母親の写真を焼き捨てる背景・理由・原因。往人が語った「本気のやつが好きなんだ」や「家族は嫌いなんだ」等の伏線の消化。ラストの尻切れ振り。全て理解不能。腕時計で時間を何度も確認するとまでいったこの作品、それだけ興味を惹かなかったと言うことですな、残念ながら。――そもそもに、これはAIRの劇場版なのだから、原作を照らし合わせることが普通なわけで。そうせずに観ろ、というほうがおかしいのではないかと思うわけです。まぁどのみち結果は一緒だったわけですがー。
 はい、ではキャラ。往人、変わりすぎ。観鈴、痴女。この時点でボクは強い拒否反応を示してしまったわけですが……続けると、晴子は割と(というか唯一の)ぐっどじょぶ。敬介、ヘタレ過ぎ。そら、そもそも必要性がなっしんぐ。聖、出番少のため評価対象外。とても常軌の沙汰とは思えませぬ。いや、観た後に広瀬くんやAnemosがはくとも話したんですが、そこに「必要性」があるのであればよかったのです。何かしら、こちらを納得しうるための判断材料があれば、それはそれでよかった。あの観鈴がかわいいといった意見もちらほら聞きますが、ボクは全くダメ。アナザーだからいいじゃんと言われても、ダメ。あれだとタダのコメディとしか言い様が無い。あそこまで改編して、何の意味とか必要があったのか。理解に苦しみます。いや、したくもないんですよね。また原作主義だからと言われればそれまでですがーっ。
 絵。ヘボい。やってくれましたねっ。見事に騙されました。TVアニメと比較してしまうのもある程度しょーがないと思ってやってくれると嬉しいんですけども、あれはちょっと手を抜きすぎ。何とか間に合わせました突貫工事です、的な空気が見え隠れしております。セル画を数千枚は省略したんじゃないかと思わせるぎこちなさ……ありました。背景その他も同様、まぁ並以下ってところでしょうかん。また、音楽も特に琴線に触れるものはなっしん。なのでここで割愛。
 では総評。観終わった当初は、「どうしてこんな風になってしまったのか」がわかりませんでした。なので買いました、資料集。作品に感銘を受けたわけではなくて、製作側の趣旨を理解するために。そして読んでみたところ、概ね予想通り。総監督の出崎氏、おそらくAIRをプレイしていません。なんでやねんと。もはや閉口するしかない。自分の味を出すのは一向に構わないけれども、それにしたって最低限守るべきラインはあるだろうと。脚本書いた方は、それ故に困惑もしたのではないかと思うのですよね。いや、人に文句垂れる前に、ちゃんと責任持って作品を知ろうとしないのか、ってな感じで。ボクはそう思うのですが、どうでしょうなぁ。

 ここまでです。お薦めはきっちりきっぱり致しません。面白くないし、不愉快になった作品。他にも言いたいことはありますが、そうなるともはや見るに堪えない表現も交じってきますので、ここまでで止めておきますが。お金を払って観た結果は、燦々たるものだったなぁと。TVアニメのほうが、ボクには合ってそうな感じです。なお、下のAAは上映開始から開始五分後くらいまででのボクの表情であります。その後は終始一番右でしたとー。
 (`・ω・´)→(´Д`)→(;´Д`)→(´・ω・`)